4 私のデジカメ物語

 

私のデジカメ物語

1 初めてのデジカメ

もともと私は絵を見たり描いたりするのが好きな方でした。しかし、小学校の頃から図画の時間など風景を描いたりして自分でも上手くできたかなと思って友達のを見るとずっと上手くかけていたりして、悔しかったものでした。ところが、カメラはどうでしょう、何時間も何日もかかる絵が一瞬のうちに描ける。しかも隅々までも正確無比に。複雑な景色も花の色もカメラを向けてシャッターを押すだけなのに、素晴らしい作品に出来上がる高級おもちゃだ。

私がはじめてデジカメというものに出会ったのは、平成10年の丸亀市国際交流協会事務局勤務の頃で、たしか、ソニーのデジカメで、フロッピーディスクがそのまま入って、そのディスクに30~40枚程度の画像が保存できるといった当時としては画期的な設計で、フイルムはいらないし、撮した画像は即座にディスプレイで確認でき、しかもフロッピー大の画面なので、少々大型でしたが飛びついて購入しました。

しかし如何せん、画像精度は35万画素程度で、写真としての機能には自ずから限界があり、画面にはぎざぎざがありありで、とても芸術作品とは言えない状態でした。プリントしても画面の荒さが目につき、早くこれが何とかならない物かと思ったものでした。フイルム・銀塩の写真しか見てない人には、これは写真とは言えないなあといった感想でした。

それでも、デジカメの本質は備えていて、撮った写真をその場で確認できることや、失敗した画像や気に入らない画像はどんどん削除して、パソコンに保存して整理できること、メールに添付して、画像送受信できることは、大きな魅力でした。丸亀の姉妹都市から来日したスペインのお客さんを案内したり、パーティーで撮った写真を素早くプリントしてあげたり、帰国後にメールで送ってあげたり、記録として季刊紙に掲載したり、仕事の上でも重宝したものです。

2 画質と保存メディアの改善

その後年々画質や保存メディアがどんどん改善向上されて行き、性能が少しずつフイルム銀塩写真に近づいてきました。平成15年に、ソニーは新しくレンズが一眼レフ並みに大きくて本体とレンズ角度が上下にフレキシブルなデジカメを発売し、画質も一段と向上して300万画素ぐらいになりました。そして、保存メディアもCD保存が登場して、フロッピーディスク150枚分がなんと1枚のCDに収納されるようになりました。机の中にフロッピーディスクがいっぱいあったのが、わずか2~3枚のCDに入ってしまい、科学の進歩は空恐ろしいとさえ感じました。

写真としての出来映えは、手札や2L版ぐらいだとそんなに画面の荒さは気にならなくなりましたが、やはりA4版ぐらいに拡大すれば銀塩に比べてまだまだという感じでした。当時は、写真コンテストでも、デジカメ作品は銀塩作品と別扱いされ、写真界ではまだ亜流のような扱いでした。

しかし、徐々にデジカメの利点が目立ち始め、て、銀塩写真家も少しずつデジカメへ転向し始めました。高価なフイルムはまったく購入する必要がなく、無限枚数が気楽に撮影でき、カメラ屋さんに現像や焼き増しを頼んだりして何回も店を往復しなくても、容易に自分で即プリントできる魅力は絶大でした。それでも画像の保存やプリント方法などパソコンを触ったことのない人にとってはおいそれと転向するわけにはいかないというのが実状のようでした。私の場合は自衛隊を退官するときからパソコンは装備していて、一応の操作とプリントは可能でしたので、まさに鬼に金棒といった感じでした。

ちょうど栗林公園で外国人ボランティアガイドをしていて、岡山の後楽園とリンクした催しがあり、クイズに応募したら北海道札幌二人旅行の航空券が当たり、北海道には住んだことがあって、札幌は珍しくもないので払い戻したら20万円程度入金があり、くだんのカメラと旧式テレビを更新させて頂きました。

折しも、その年から栗林公園では春のライトアップが始まり、満開の桜が夜空を飾りました。

弾む心で新調のカメラで始めて撮影した夜桜が一生の思い出となり、私の写真に「美楽留ショット」と名づけました。「美を」「楽しみ」それを「留める」その発音はミラクル(奇跡)素晴らしいではありませんか(自画自賛)。そしてその年までの1年間で撮った画像を拾い集めて、アルバムを作ることを思い立ちました。

どんな形でもいいから1年の初めから終わりまでのシリーズを一冊にまとめ、生涯の宝にしようと思い、自費出版にこぎ着け、できあがったのが写真集「天に星、地に花、人に愛」でした。作成日付は、平成16年8月8日として、ちょうど当日に防大時代の同期生(8期8班)が四国旅行でこんぴらの琴参閣に宿泊する日に重ねあわせて、発刊を祝し参加者全員にプレゼントしました。

3 一眼レフが欲しい

 コンパクトカメラには数々の利点と魅力があります。しかしどうしても限界がある。また、経年とともに、カメラ技術が劇的に進歩し、毎年カメラ各社が競って新機種を発売し、その度に性能が格段にアップする。画素数も800万画素まで向上して、プリント拡大しても従来の銀塩写真に引けを取らないまでになってきました。そして一眼レフにさえデジカメが登場するようになった。一流の写真家でもアマチュアでもデジカメの威力を見直して、これが主流になってきました。

 そのとき、たまたま愛用してきたソニーデジタルが故障してしまった。ボタン操作が狂いだして、何度か修理に出してみたものの再び自由がきかなくなってしまう。そこで思い切って一眼レフに切り換えました。

 もともとプロでもないし、プロになる気概もないから初心者用で十分、軽量で操作性能がよいキャノンのEOSキスNというのが出たので、これを求めました。一眼だからレンズ交換できるのが特徴、ちょっと無理して望遠レンズとマクロレンズを購入しました。操作の知識と経験が未熟なため、取説を読んでもぴんと来ないで、理解できないところが多く、写真の大先輩を訪ねて教えを乞いました。

 レンズ交換の要領からシャッター速度と絞りの関係、焦点距離と撮影深度、露出補正・ホワイトバランスの意味、夜間撮影の注意事項、三脚の意義、ぼかしのテクニック、フィルターの種類と効果などなど・・・たくさん学びました。

 しかし、撮影の現場となると、せっかく教えてもらった知識や技術は十分生かせず、被写体に向かうとオートが主体で無我夢中でシャッターを切りまくり、後から設定が間違ったままになっていたことに気づいたり、お粗末な状態でした。それでも、多くの記録の中には偶然に予期しなかったいい画像も見つかったりして、興味も尽きないものがあります。どちらかと言えば、今でもたくさん撮って、気に入らないものを削除する消去方式でいいものを残し、これに助けられている傾向が強いようです。これはデジカメだからできることで、こんなにフイルムを無駄づかいしていたら、銀塩時代には通用しなかったでしょう。取説は、はじめから全部読もうとすると飽きやすいので、自分が気に入ったところだけその都度読んで、読んだところはサインペンでマークして、頁を折り込んでおくと後から読むのに便利だと思います。

4 コンテストにチャレンジ

 蓄積して行く写真の中で、いいものを選んで、いっそコンテストに出品してみようかという誘惑に駆られ、写真雑誌やホームペイジからいろいろなコンテスト募集情報を探し出して、2~3試みることにしました。

 先輩達に聞いてみると、やはりコンテストに出して認められるには、写真クラブ・教室に入って、名のある先生について長年の勉強・修行を積んで実力を付けなければ、一人だけの横好きでは到底上達しないということでした。また、早く入賞したければ、全国規模の本格コンテストよりも、ローカルの特定テーマ毎の短期募集の方が入賞しやすいので、まず小さいコンテストが狙い目だと教えられました。かといって、今更プロになるつもりも可能性もないわけで、本格派コースは敬遠して、アマチュア応募のフリーのランクを主体に選ぶことにしました。

 各カメラ・写真雑誌でも毎月作品を募集しているし、キタムラカメラのようなカメラ店でも季節毎募集しています。コンテスト入賞の手ほどきなどといった特集単行本も提供して頂きましたが、どうしても被写体に向かうと無我夢中で、数々の技術・理論などそっちのけでなかなか思うようには行きません。また、いろいろコンテストをピックアップして、応募してみましたが、そう易々とは入賞しません。4~5年前に一回だけたまたま全国総合写真展に出品したものの中で一点が佳作入賞しました。東京の上野美術館に一ヶ月ほど展示され、一応表彰式招待もありました。表彰式に出席するほどの成績でもありませんでしたが、ちょうど孫達が東京在住でしたので、作品展を口実に上京して、いっしょに展示を見た後、上野公園の桜花見と動物園で楽しく過ごせたのが最大の幸せプレゼントでした。

 今にして思えば、コンテストを目標にして、いろいろな雑誌や発表会の優秀な作品をたくさん見ることが、細かい技巧というよりは、いかに被写体を見出し作品にするかの感性・情緒を養う上で大変重要だということがよく分かりました。

5 NHK TVに投稿

 ある日NHKのゆう6かがわをみていると、お天気写真という場面かあって、天気予報の最後に

投稿写真の紹介がありました。インターネットで調べてみると、プリント写真送付でもメール添付でも、また定型応募フォーム貼り付けでも受け付けているとのことで、興味本位で試しに送ってみましたら、即採用となり、メールで事前通知が来ました。TV放映というスリルで知人にも予告して、わくわくしながらその日を迎え、録画したものでした。「夕陽の五岳山」だったと思います。それだけのことですが、放映の直後からたくさん電話やメールで「見ましたよ」の連絡が入ったり、後日思いがけない人に「テレビで見ました」と話題が盛り上がったりして、その快感が忘れられないものになりました。ただ、夕6かがわはローカル放送なので放映範囲が県内に限定されていて、県外の友人・知人にも見せられればいいのにと残念がりました。

 調子に乗って次々に投稿しましたが、いっこうに採用通知が来ないので、厚かましいとは思いましたが、メールで質問してみましたら、投稿者多数で、順次公平に放映していますから、しばらくお待ち下さいという返信でした。なるほどそれもそうだなあと納得で、その後は放映後2~3ヶ月後に投稿することにしました。

 また、一度放映された写真は、1週間遅れでインターネット高松放送局のゆう6かがわにリバイバル記録の「一枚の写真」として掲載されて閲覧できます。

 その後、夕6かがわの放映編成が変わり、いまではイベント紹介の背景として写真紹介があり、紹介イベントのイメージと印象が重なって、写真の主題が少し損なわれるようになったのが残念です。

 しかし、同じローカル放送でもひるまえかがわがあり、「私の作品」という写真紹介場面があって夕6かがわと同じく募集・放映されていることを知りました。この番組は、写真専用ではなく、手芸やイラストなども募集対象ですが、紹介は丁寧で、作品の作成背景や作者の感想なども加えられて、時には2枚連続で組み写真としても出品してくれます。また、これもホームペイジにバックナンバーとして過去の作品紹介が掲載されます。

ゆう6かがわもひるまえかがわも放映の数日後にNHKマーク入りのタオルや文房具などが賞品として郵送され、うれしい気分になります。

6 「季節の写真展」ブログ公開

最初は、勤務先の同僚や年賀状にメールアドレスを書いてある方を対象に、毎週1回、前週の1週間に撮った写真の中で気に入った作品数点をメールに添付して送信していました。毎回丁寧なコメントや相手側の写真も返送されて来る方もあり、送・受信するのが大変楽しみでした。

また、この1枚をA4にプリントして、そのイメージを俳句的に表現して、英文を付けて、英会話教室の冒頭で紹介しています。生徒さん達も今週はどんな写真かと楽しみにしているようで、私自身も今週はどの題材にしようかと考えを巡らすようになりました。

ところが、メールで送信すると、送信にも受信にも時間がかかり、相手のハードディスクの容量にも迷惑をかけ、万一ウイルスが侵入すると大変なことになりますので、何かいい方法はないものかと思案しまして、現代版のブログに掲載して、これをメールでリンク案内してクリック閲覧して頂く方法を思いつきました。ブログに掲載するだけでは、不特定多数のたくさんの閲覧はありますが、友人・知人には案内が届かず、不案内となってしまう傾向がありますので、やはりメールのリンク案内でブログ閲覧して頂くのがもっとも便利で手軽です。

ブログ作りは、最初は書物で研究したり、インターネットで検索したり、なかなか大変でしたが、一度自分が気に入ったやり方を決めたら、単調かもしれませんが、あれこれ変えるよりは継続して、作りやすく閲覧しやすいヤフー形式にしました。

現在は、自分のプロバイダーであるヤフーブログに「季節の写真展」と題して掲載させてもらって、1年が経過し、過去の主要作品もこれで容易に検索できるようになりました。自分の保存用にも皆さんの検索用にも一石二鳥です。

7 常設個展として出品

 昨年末に、市の生涯学習センターで自衛隊OBで構成する丸亀隊友会主催の美術展が開催されて、写真の部で何か出品するよう依頼を受け、「季節の写真」の中から春夏秋冬4点とその他特別出品2点を展示しました。展示中に、この作品が欲しいのでいくらで売ってくれますかという方もありましたが、販売はお断りして、複製プリントを差し上げました。

 また、善通寺勤務時代の同僚が、善通寺市の偕行社に勤務していて、うちにも展示してくれませんかというお誘いがあり、現地打ち合わせの結果、偕行社に隣接するレストランの入り口に4点の「季節の写真」を展示して、これを毎月更新するというやり方を取り入れ、常設の個展をスタートしました。

 善通寺においでの際は、偕行社の見物・コーヒー・ランチと「季節の写真展」もお楽しみ下さい。

8 写真ハガキとしての新しい価値

 善通寺市の偕行社レストランに展示している毎月更新の4枚の作品を来訪者が見てくれているのか、また関心を持ってくれているのかが気がかりでした。アンケートを書いてもらうほどのこともありませんし、考えた末に4枚それぞれの作品を写真ハガキに5枚ずつプリントして、「お気に入りを1枚差し上げます」と書いて置きましたら1週間もしないうちになくなります。その都度補給も大変ですので、10日に一回補充ということにして喜んでいます。毎月4x5x3=60枚がもらわれていくということをうれしく思っています。

 また、もう数年になりますが、毎週のブログのベスト作品をやはり写真ハガキにプリントして、在京の孫達に送っています。中・小学生の姉妹に連名で送りますが、大変人気がよくて、時々返信をくれて、やはり裏面には写真があります。写真ハガキは季節のムードがあるし、文章も少なくてすみますからとても便利です。現在第126号ですが、全部写真帳に保管してくれてあり、写真帳を写真に撮って送ってくれたりしました。
 写真ハガキの台紙もインクも多少費用がかかりますが、それ以上に楽しみの方が絶大です。